麦門冬湯はコンコンという長引く咳におすすめ!

長引く咳に麦門冬湯 漢方(kampo)

監修

+kampo
薬剤師 笹森有起

編集

医療ライター
薬剤師 森本夏子

「風邪が治ったのに、いつまでも咳がおさまらない」
「コンコンという咳が続いている」
「妊娠中だけど咳がつらいから、何とかしたい」

このようなつらい咳におすすめな漢方、麦門冬湯(バクモンドウトウ)。

咳止めの漢方はいくつかありますが、麦門冬湯は特に痰がからまない長引く咳に効果的です。
また、強い咳止めが飲めない妊婦や授乳中のママでも、麦門冬湯を服用することができます

今回の記事では、以下について解説します。

  • 麦門冬湯が効果的な咳の種類について
  • 西洋薬での咳の治療法
  • 麦門冬湯でつらい咳をやわらげる方法

いつまでも咳がおさまらなくてお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

麦門冬湯は乾いた咳や長引く咳に効果的

咳は、気道内にたまった分泌物や異物を、外に排出するための体の防御反応です。
一方で異物がなくても、気道が敏感になったり、炎症が起こったりするせいで咳が出ることがあります。

気道の過敏性アップや炎症を原因とする、乾いた咳や長引く咳には昔から麦門冬湯が使われてきました。
この章では、麦門冬湯が特に有効な咳について4つご紹介します。

1.コンコンという乾いた咳

コンコンという、痰がからまない咳を「空咳(からせき)」と呼びます。
空咳の原因には例えば次のものがあります。

  • 空気の乾燥
  • 空気中のほこり
  • 喫煙
  • 花粉症、アレルギー
  • ストレス
  • 服用薬の副作用 など

空咳の予防には、のどのうるおいを保つことと、原因を取り除くことが大切です。
こまめな水分補給や、マスクの着用などでのどをしっかりと守りましょう。

2.風邪のあとの長引く咳

風邪が治っても気道に炎症が残っていると、少しの刺激で咳込むことがあります。

医学的には「感染性咳嗽(かんせんせいがいそう)」と呼ばれ、多くは3週間以内におさまりますが、中には8週間以上続くことも。[1]

感染性咳嗽は、ウイルスや細菌による感染で気道粘膜の細胞が傷ついて起こります。
また、傷ついた細胞が修復されるまで咳の症状が続きます。

自然に治りますが、症状が長引いたり、咳で眠れなかったりするなら、薬を服用してもいいでしょう。

3.息苦しい気管支ぜんそく

気管支ぜんそくは、アレルギー反応によって気道が狭くなり、息苦しさを繰り返す病気です。
気道も敏感になっているため、少しの刺激で咳や喘息発作が起こります。

吸入ステロイドや、気管支を広げる薬を中心に治療しますが、サポートとして麦門冬湯などの漢方を服用することもあります。

気管支ぜんそくは症状が治まっているときも、発作の予防のために薬の継続が大切です。

4.妊婦・授乳中ママのつらい咳

妊娠中や授乳中は、胎児や乳児に影響が出る可能性があるため、強い咳止めの服用を控えることがあります。
強い咳止めを使えない場合には、子どもへの負担が少ない漢方がおすすめです。

疲れがたまっている時は、咳が止まらないと体力をさらに消耗してしまいます。
妊娠中や授乳中につらい咳で困っている時は、我慢しないで医師や薬剤師に相談しましょう。

妊娠中における漢方の使い方については、こちらの記事で解説しています。
妊娠中に漢方は飲んでもいい?妊婦と薬の関係を解説

咳の西洋学的な治療法をご紹介

西洋学的な治療は、症状に合わせて薬を組み合わせる対症療法です。
咳の場合は、原因によって使う薬が変わってきます。

さっそく見てみましょう。

咳の原因によって薬を組み合わせる

咳をやわらげる主な薬は、次のとおりです。
西洋薬では、咳を抑えるために複数の薬が処方されることがあります。

薬の種類 薬品名 薬の作用
咳止め
  • ジヒドロコデインリン酸塩
  • デキストロメトルファン など
咳を抑える
痰切り
  • カルボシステイン
  • アンブロキソール など
痰のねばつきを抑え、すべりを良くして気道内の痰を取り除く
気管支を広げる薬
  • ツロブテロール
  • テオフィリン など
気管支を広げて呼吸を楽にする
アレルギーを抑える薬
  • モンテルカスト など
アレルギーを抑えて咳をやわらげる

痰がからまっている時には、咳止めと一緒に痰切りが処方されます。
また、アレルギーを原因とする咳には、アレルギーを抑える薬が有効。

咳の原因に合わせた薬の選択が重要です。

咳の薬で起こりやすい副作用

咳止めのジヒドロコデインリン酸塩の主な副作用は、眠気や便秘です。
気管支を広げる薬は、吐き気や心臓がドキドキするという副作用が現れることがあります。

また、コデイン系の咳止めは妊婦・授乳中の方は注意が必要です。

薬の使用で気になることがあれば、医師や薬剤師にご相談ください。

麦門冬湯はコンコン咳をやわらげる漢方

麦門冬湯(バクモンドウトウ)は、中国・漢時代の「金匱要略(きんきようりゃく)」に記されている、古くからある処方です。

麦門冬湯の特徴についてご紹介します。

麦門冬湯の飲みやすさの秘密は生薬の甘み

麦門冬湯は6つの生薬の組み合わせでできています。

  • 麦門冬(バクモンドウ)
  • 半夏(ハンゲ)
  • 粳米(コウベイ)
  • 大棗(タイソウ)
  • 人参(ニンジン)
  • 甘草(カンゾウ)

粳米(コウベイ)とは、うるち米のこと。
麦門冬湯はうるち米や甘草を含むため、甘みがあって比較的飲みやすい漢方です。

半夏はこみ上げる咳をやわらげ、吐き気をしずめる作用があります。
また、人参、粳米、大棗、甘草は乾いた体をうるおわせます。

麦門冬湯のように、名前に「湯」という漢字が付く漢方は、お湯に溶かして香りをかぎながら服用すると、効果が高まるのでおすすめです。

のどをうるおわせて咳を鎮める麦門冬湯

麦門冬湯はのどをうるおし、イガイガのどを原因とする咳をやわらげます。

添付文書に記されている効能効果は、次のとおりです。

効能効果 痰の切れにくい咳、気管支炎、気管支ぜんそく

引用:ツムラ麦門冬湯エキス顆粒 添付文書[2]

COPDとも呼ばれる慢性閉塞性肺疾患や風邪のあとの長引く咳でも、医学的なエビデンスが認められています。

その他にも、体をうるおすという特徴から、シェーグレン症候群などのドライマウスの治療に使われることもあります。[3]

また、ジヒドロコデインリン酸塩などの咳止めと違って、麦門冬湯は眠気が起こりません。
車の運転や仕事に集中したい人にも、麦門冬湯はおすすめです。

麦門冬湯で注意すべき副作用

漢方は西洋薬に比べると副作用が起きにくいですが、まったくないわけではありません。
麦門冬湯で気を付けたい主な副作用は、偽アルドステロン症と間質性肺炎です。

麦門冬湯に含まれる生薬の甘草(カンゾウ)を摂りすぎると、アルドステロンというホルモンに似た働きをすることがあります。
偽アルドステロン症の初期症状は、手足のだるさやつっぱり感などです。

甘草は多くの漢方に含まれているので、麦門冬湯のほかにも漢方を服用する場合は医師や薬剤師にご相談ください。

また、間質性肺炎は、間質と呼ばれる肺の組織に起こる炎症です。
間質性肺炎になると、息切れや息苦しさが現れます。

副作用を予防するためにも、用法用量を守り長期の服用を避けましょう。

痰がからまない長引く咳には麦門冬湯がおすすめ

今回の記事では、以下についてご紹介しました。

  • 痰がからまない長引く咳には麦門冬湯が効果的
  • 麦門冬湯は妊婦や授乳中ママの咳にもおすすめ
  • 麦門冬湯は眠気が出ない咳止め
  • 甘みがある漢方で、お湯に溶かして飲むと良い
  • 偽アルドステロン症、間質性肺炎の副作用に注意

麦門冬湯は眠気が出ないので、運転や仕事、勉強などのライフスタイルに合わせて選ぶのもおすすめです。

いつまでも続く咳は体力を消耗し、寝不足を引き起こすこともあります。
長引く咳から解放されて、すっきりとした毎日を過ごしましょう。

 

 

【参照】

[1]「咳嗽に関するガイドライン」における感染性咳嗽の治療 ラジオNIKKEI 病薬アワー 

[2]ツムラ麦門冬湯エキス顆粒 添付文書

[3]シェーグレン症候群診療ガイドライン 2017 年版

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