実は正式な病名ではない「五月病」を解説

spring-fatigue 疾患

監修

+kampo
薬剤師 笹森有起

編集

医療ライター
薬剤師 森本夏子

「新入生、たくさん勉強したい!」
「新社会人、バリバリ仕事覚えるぞ!」
「新しい部署、はやく戦力にならないと!」
「新年度、仕事で成果出さないと!」

頑張りすぎて気がついたら…

「何かをしようと思っても体がだるい」
「眠れなくなった」
このような症状があるのなら要注意!

症状が出るのがゴールデンウィーク前後であれば、もしかすると五月病かもしれません。

今回の記事では、五月病の経験がある現役薬剤師の筆者が、以下の4点を中心に解説します。

  1. どのぐらいの方が五月病を自覚しているのか
  2. 五月病の原因
  3. 五月病の症状
  4. 五月病の対策

五月病について、理解を深めていきましょう。

若手の社会人に多い五月病

どのぐらいの方が、五月病になったことがあると思いますか?

エンジニアのためのキャリア応援マガジン「fabcross for エンジニア」が、社会人1~3年目の技術系会社員150人と事務系・その他会社員150人を対象に実施した調査によると、若手社会人の約4人に1人である27.7%が「五月病になった」と回答しています。[1]

関西メーカー専門の転職エージェントである株式会社タイズ(本社:大阪府大阪市、代表取締役:広岡 栄志、以下タイズ)は、250人のエンジニアを対象に行った調査でも、五月病になったことがあると自覚している人は32.4%という結果に。[2]

2つの調査結果から、若手の社会人の30%前後が、五月病を自覚していることがわかります。

五月病とは正式な病名ではない

五月病という名前から、正式な病名だと思う人もいます。
しかし、五月病という病名は存在しないので、医師がカルテに五月病と書くことはありません。

実際には、症状によって以下の診断名が付くことがあります。[1]

  • 適応障害
  • うつ病
  • パニック障害
  • 不眠症 など

長期休みであるゴールデンウィーク明けの5月初旬に症状が多いことから、総称して五月病と呼ばれています。

五月病の原因

新年度が始まり最初の1か月ほど、若手の社会人や学生などは無理しながら頑張ってしまう傾向があります。

頑張った分の反動として心身共に疲れてしまいます。
新生活や新しい環境で意気込んでいただけに、踏ん張りが効かない自分に自信がなくなることも。

  • 目標を達成した後に、次の目標を見失う
  • 新しい環境になじめない
  • 新しい人間関係に溶け込めない

五月病のきっかけは、新入学生・新入社員・人事異動による配属先の変更などで、環境が変化することと考えられます。

五月病の症状は

五月病は、適応障害・うつ病・パニック障害・不眠症などの症状が現れます。

  • 体がだるい
  • 食欲がない
  • 気分が悪い
  • 気が重い
  • 不安感が強い
  • 眠れない
  • 朝なかなか起きられない など

始めは軽い症状でも、だんだん酷くなってきたり、複数の症状が重なったりする場合もあります。
頑張ってきた期間からの落差が大きいので、とてもつらい状態なのが想像できますよね。

五月病セルフチェックしてみましょう

五月病セルフチェックの項目が10個あります。
最近1週間の症状であてはまるものを選んでください。

「自分は関係ない」と思っている方も、ぜひやってみましょう。

1 いつもなんとなくイライラしている
2 人と話したり関わったりするのが面倒くさく感じる
3 朝起きたときぐったりとした疲れを感じる
4 集中力がなくなり、仕事や勉強が手に付かない
5 通勤電車に乗るのが苦痛に感じられる
6 歯磨きや整髪、身だしなみを気にしなくなった
7 自分の不注意によるケアレスミスが多くなった
8 以前に比べて疲れやすくなった
9 他人が自分のことを軽視しているように思える
10 自分の好きなことや趣味をやる気になれない

※このチェックリストは医学的に確定診断するものではないので、あくまでも、自分の今の状態を確認するためにご利用ください。
引用:産業医トータルサポート 従業員の五月病対策。ぜひゴールデンウイーク前に確認を!

上の10個の質問のうち、6個以上当てはまった方は五月病の可能性があります。

当てはまる項目が多い方は、これから紹介する対策を取り入れてみましょう。

項目が少なくても、症状がつらい場合は早めの受診をおすすめします。
絶対にガマンしないことが大切です。

今日からできる五月病の対策5つ

五月病かなと思ったら、早めに対策しましょう。
対策しないと、どんどん症状がつらくなる可能性も。

5つの対策方法を紹介します。

①ストレスを軽減

新しい環境になり、初めは頑張れますが、徐々にストレスが溜まります。

ストレスは「体がだるい」「気が重い」などのうつ症状へつながっていくので要注意。

五月病への対策として、ストレスを溜めないことがポイントです。

ウォーキングなどの運動は、ストレスを軽減する効果があります。[4]
趣味を楽しむ時間を設けるなど、ストレスを発散できる方法を取り入れましょう。

②十分な睡眠

「眠れない」「朝なかなか起きられない」という五月病の症状も深刻です。

睡眠は疲労を解消する手段でもあるので、質の良い睡眠を確保したいですね。

ただし、睡眠時間が長すぎるのは逆効果です。
日本人の平均睡眠時間は6~8時間といわれているので、規則正しい生活リズムを大切にしましょう。

睡眠の質について、詳しく知りたい方にこちらの記事がおすすめです。
自律神経と睡眠をつなぐ深い関係、眠りの質を高める5つの秘訣

③バランスよい食事

疲労回復には睡眠と栄養が欠かせません。
特に5大栄養素をしっかり摂ることが大切です。

  • 糖質
  • 脂質
  • タンパク質
  • ビタミン
  • ミネラル

また、一品で済ませるよりも主食・副菜・主菜を組み合わせて、順番に食べることも意識しましょう。

栄養を摂取するために食事をするだけでなく会話を楽しみながらや、好きな音楽を聴きながらなど、食事の時間を楽しみたいですね。

食事と疲労回復についての詳しい記事は「納得!「バランスよい食事」と「疲労回復」の関係」 をチェックしてください。

④人とのコミュニケーション

自分の気持ちを抱え込んだままにしておくと、「気が重い」「不安感が強い」状態になります。

家族や友人などと、ストレスについて話すことも重要です。

コミュニケーションは、ネガティブな思考や感情などを和らげてくれます。

直接話すことがおすすめですが、現在はいろいろなSNSもあるので、活用してみるのも良いかもしれません。
ただし、SNS自体がストレスにならないよう注意しましょう。

⑤考え方の転換

「頑張らないと」と気負うことがストレスになり、五月病の原因となります。
「マイペースで取り組もう」という意識を持つことが大切です。

無理してプラス思考にする必要はありません。
ゆっくり時間をかけて、自分らしさを取り戻しましょう。

思い通りにならなかったと考えるのではなく、「1日頑張った自分をほんの少し褒めてあげる」というように考え方の転換ができるといいですよね。

五月病かもしれないと思ったら

十分な睡眠や栄養補給、適度な運動をしてストレス解消に努めても、五月病の症状が改善しない場合は受診を検討してみましょう。

  • いつから
  • どんな症状が
  • どれぐらいつらいのか

医師の前だと緊張から、なかなか言葉が出てこなくて、しっかり伝えられないこともあります。
スマートフォンのメモ帳に上記3項目を入力しておき、診察時にメモを見ながら話すと良いですよ。

早めに受診し治療を開始することも、選択肢として考えておきましょう。

ひとりで五月病に悩まず相談しましょう

今回の記事では、以下について解説しました。

  • 30%前後の若手の社会人が、五月病を自覚している
  • 五月病は正式な病名ではない
  • 五月病の原因は、新しい環境になじめない適応障害など
  • 五月病の症状は「体がだるい」「気が重い」「眠れない」等
  • 五月病の5つの対策は「ストレスを溜めない」「睡眠」「栄養」「コミュニケーション」「考え方を変える」
  • 五月病の症状が続く場合は、早めの受診を

五月病は、若手の社会人だけではなく、昇進して仕事が変わったキャリアのある社会人でも起こる可能性があります。

「あれ?おかしいな」と感じたら、ひとりで抱え込まず、家族や友人などに相談してみましょう。

相談した上で対策をしっかり行い、新学期や新年度を乗り切りましょう。

 

【参照】

[1]若手社会人の4人に1人は「五月病になった」と感じていた, fabcross for エンジニア

[2]~3割強が経験あり~「五月病」に関する調査を実施,PR TIMES

[3]“五月病”あなたは大丈夫ですか?,奈良県医師会

[4]スポーツ庁Web広報マガジンDEPORTARE > 数字で見るスポーツの価値 > プラス「10」分のウォーキングから始めるストレス対策

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