自律神経と睡眠をつなぐ深い関係、眠りの質を高める5つの秘訣

自律神経

監修

オフィス薬局
薬剤師 笹森有起

編集

医療ライター
薬剤師 森本夏子

あなたは最近ぐっすりと眠れていますか?
総務省の統計によると、日本人の平均睡眠時間は男性で7時間45分、女性で7時間25分。[1]

「そんなに眠れていない」
「睡眠時間は取れているけれど、ぐっすりと眠った気がしない」

睡眠は毎日の健康の維持に欠かせません。
また、女性にとっては美しさを保つためにも重要です。
睡眠不足が続けば、病気を引き起こす原因にもなります。

睡眠と自律神経の関係も重要。
自律神経を整えることで、今よりももっと眠りの質を高めることができますよ!

今回は、薬剤師として多くの不眠症の患者さんと関わってきた筆者が、今夜から実践できる快眠テクニックを紹介します。

 

自律神経と睡眠は深い関係

自律神経と睡眠は深い関係自律神経は2つの神経からなっています。
それぞれのはたらきが強くなるのは、次のような場面です。

交感神経 活動をする時
ストレスを感じた時
副交感神経 リラックスする時

交感神経と副交感神経はシーソーのような関係です。
交感神経のはたらきが強まると、副交感神経が弱まります。
逆に副交感神経のはたらきが強まると、交感神経が抑えられるのです。

2つの自律神経がバランス良くはたらくことで、人間はスムーズに活動することができます。

睡眠に欠かせない副交感神経のはたらきとは

2つの自律神経のうち、睡眠と大きな関わりがあるのは、副交感神経です。
副交感神経のはたらきが高まると、体には次のような変化が起こります。

  • 脈拍数が減る
  • 血圧が下がる
  • 胃腸のはたらきがよくなる
  • リラックスする

昼間は交感神経のはたらきにより活発な活動が可能です。
夜になると今度は、副交感神経のはたらきが強まり、人間の体は眠るための準備を始めます。

自律神経の乱れで起こる睡眠の悩み

以下のような睡眠の悩みはないですか?

  • なかなか寝付けない
  • 眠りが浅く夜中に何度も目が覚めてしまう
  • 早朝に目が覚める
  • 眠った気がしない

医学的にはこの状態のすべてを不眠と呼びます。
夜になっても交感神経のはたらきが強い状態が続き、頭が冴えた状態になっているのが原因です。

ぐっすりと眠るためには交感神経を抑え、副交感神経のはたらきを高めましょう。

自律神経を整えて睡眠の質を高めよう

自律神経を整えて睡眠の質を高めよう自律神経を整えると、次のようなメリットがあります。

  • 寝つきがスムーズになる
  • 途中で何度も目が覚めない
  • 朝までぐっすりと眠れる
  • すっきりとした目覚め

しっかりと眠ることで1日の疲れを回復し、健康や美容にもつながります。
では、自律神経を整えて睡眠の質を高めるには具体的にはどうしたらいいのでしょうか。

自律神経を整えて睡眠の質を良くするための5つのコツ

自律神経を整えて睡眠の質を良くする5つのコツ不眠症の症状に対して、自律神経を整えるコツを5つ紹介します。
さっそく見ていきましょう。

①眠る前4時間はカフェインをとらない

睡眠の大敵と言えばカフェイン
コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれています。[2]

飲料 カフェイン量(100ml当り)
コーヒー 60mg
玉露 160mg
煎茶 20mg
紅茶 30mg
ウーロン茶 20mg

カフェインを摂るメリットは眠気の解消や、仕事の効率アップです。
一方で、飲む時間帯によっては睡眠に影響をおよぼすというデメリットもあります。

カフェインの効果が続く時間は、飲んだあと約30分~3時間です。[3]
眠る直前にカフェインを取ると、効果が切れないため脳が覚醒し、寝つきが悪くなってしまいます。

個人差もありますが、眠る4時間前からはカフェインを控えましょう。
最近ではデカフェやカフェインレスの商品も増えてきました。
夕食後の一杯には、ノンカフェインもしくはカフェインの少ない飲み物を選ぶのがおすすめです。

②寝る2時間前に入浴

人間は体の中心の温度(深部体温)が下がると眠気を感じます。
夜になると眠くなるのは、副交感神経のはたらきで深部体温が下がるためです。

自律神経が乱れていると深部体温をうまく下げることができず、寝付きが悪くなってしまいます。
そこでおすすめしたいのが、お風呂を利用して深部体温を下げる方法です。

お風呂に入ると一時的に深部体温が上がり、その後急激に下がり始めます。
深部体温が十分に下がり、眠気が現れる始めるのは約2時間後です。
眠りたい時間から逆算してお風呂に入ると、スムーズに寝付くことができますよ。

眠る2時間前に入浴した場合の睡眠の質を調べた研究があります。[4]
入浴したグループは入浴していないグループに比べて、途中で目が覚めることが少なく、ぐっすりと眠ることができたという結果でした。

入浴したグループの睡眠の質は約10%改善がみられました。

今まで寝る直前にお風呂に入っていた人は、ぜひ眠る2時間前のお風呂を試してみてください。

③適度な運動をする

眠気を感じるためには、脳と体の疲れ、両方が必要です。
脳は1日の仕事で疲れていることが多いので、運動を追加して適度に体も疲れさせましょう。

ただし眠る直前に激しい運動をすると、交感神経のはたらきが高まってしまい逆効果になります。
副交感神経のはたらきを高めるには、ストレッチやヨガなどリラックスできる運動がぴったりです。

④寝つきを良くする朝ご飯選び

夜の眠りの質を高める準備は、実は朝から始まっています。[5]
眠りを誘うメラトニンという睡眠ホルモンをご存じでしょうか?

メラトニンの材料となるのはトリプトファンというアミノ酸です。
トリプトファンは体の中では作られないため、食事で摂る必要があります。

トリプトファンを多く含む食品は次の通り。

大豆食品 納豆・豆腐・みそ
乳製品 牛乳・チーズ・ヨーグルト
ナッツ類 カシューナッツ
魚類 マグロ・カツオ

バナナもトリプトファンを多く含むので、朝食と一緒にバナナミルクを飲むのもいいですね。

朝食でトリプトファンを摂ると、日中の光刺激によってメラトニンとなります。
そして、夜になる頃に眠りを誘う効果が現れてくるのです。

みなさんも朝食でトリプトファンを摂って、夜はぐっすりと眠りにつきましょう。

⑤快眠グッズを利用する

「今まで挙げたコツを実行してみても、なかなか質の良い眠りが得られない…」
そんな時は、快眠グッズを利用してみましょう。

  • 布団やまくらなどの寝具を心地いいものに変える
  • エアコンをつけっぱなしにして、気持ち良い室温で寝る
  • カモミールやラベンダーなどリラックスできるアロマを嗅ぐ
  • 光目覚まし時計でストレスなく目覚める
  • スマートウォッチで自分の睡眠サイクルを知る

おすすめ快眠グッズとして光目覚まし時計とスマートウォッチを紹介します。

光目覚まし時計は、設定時間の30分ほど前から、徐々に時計が明るくなっていきます。
秋冬や天気が悪い日など、なかなか朝日が昇らない時期にはとても便利です。

スマートウォッチは毎日の睡眠時間だけではなく、レム睡眠やノンレム睡眠の割合なども知らせてくれます。

スマートウォッチで分かるのは自分の睡眠の「クセ」。
睡眠の質が悪かった翌日は、「早寝してみようかな」など睡眠の予定を立てることも可能です。

あなたもお気に入りの快眠グッズを見つけてみてください!

自律神経と睡眠の関係を知って、ぐっすり眠ろう

自律神経と睡眠の関係を知って、ぐっすり眠ろう自律神経を整えて、より質の高い睡眠をとる5つ秘訣は以下の通りです。

  1. カフェインは眠る4時間前から控える
  2. 寝る2時間前に入浴する
  3. リラックスできる運動を行う
  4. 朝食で大豆食品や乳製品などを摂る
  5. 快眠グッズを利用する

自律神経と睡眠の関係を上手に利用して、ぜひ今夜から心地よい睡眠を始めましょう。

 

【参照】

[1]総務省 社会生活基本調査 平成28年社会生活基本調査 調査票Bに基づく結果 詳細行動分類による生活時間に関する結果 生活時間編

[2]全日本コーヒー協会

[3]日常生活の中におけるカフェイン摂取―作用機序と安全性評価:栗原 久:東京福祉大学・大学院紀要 第6巻 第2号(Bulletin of Tokyo University and Graduate School of Social Welfare) pp109-125 (2016,3)

[4]ヒトの体温調節と睡眠:内山 真、降籏隆二:日温気物医誌第 78 巻 1 号 2014 年 11 月 p.6-9

[5]概日リズム調節における光と食事の影響に関する研究動向:福田裕美:日本生理人類学会誌 Vol.24,No.1  2019, 2 1-7

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