免疫と漢方薬の関係を薬剤師が解説

漢方(kampo)

監修

オフィス薬局
薬剤師 笹森有起

編集

医療ライター
薬剤師 森本夏子

「漢方薬で免疫がアップするの?」

「漢方薬って免疫と関係あるの?」

最近では、免疫の特集が雑誌記事やWebページで頻繁に取り上げられています。
中には漢方が効果的だと紹介する記事も。

「なんとしてでも免疫力をアップさせましょう」
「免疫力をつけてあらゆる不調や病を退けましょう」

といった内容のものも見られます。

しかし免疫は、複雑な要素が絡み合って私たちの身体に備わったシステム。
決して単純なものではありません。

この記事では「免疫」と「漢方」の関係を漢方薬局の薬剤師が解説します。

免疫アップに興味がある人におすすめの記事です。

 

免疫とは防御システム

「免疫」は、細菌やウイルスなどに対して「自分」と「自分でないもの」を識別してからだを守る防御システム。

そして「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類が存在しています。

2つの免疫の特徴は、

  1. 自然免疫 → 病原体に関して即攻撃
  2. 獲得免疫 → 抗体、病原体に特異的

それぞれ詳しくみていきましょう

①自然免疫

自然免疫とは病原体に対して自然に反応する最初の免疫です。

身体の中に細菌やウイルスなどの病原体が侵入すると、その病原体にすぐに対抗できるよう、目印に関係なく攻撃します。

自然免疫の代表例として以下があります。

  • マクロファージ
  • 顆粒球
  • NK細胞 など

②獲得免疫

獲得免疫とは、記憶されている免疫が侵入してきた抗原を攻撃して追い払うシステムのこと。

同じ種類の抗原が再度体内に侵入してきた場合、すでに記憶されている免疫が活性化します。

例えば、麻疹や風疹などの感染症が「一度かかると、再びはかからない」といわれるのは、この獲得免疫の働きによるもの。

獲得免疫の仕組みを利用して、感染症を予防するのがワクチン(予防接種)です。

免疫力が低下する原因

私たちの体内で、感染症にかからないよう重要な働きをしてくれるのが免疫の働きです。

普段かからないような感染症にかかったり、風邪をひきやすくなったりするときは、免疫力の低下が考えられます。

免疫力が低下する原因は様々です。

  • 疲労の蓄積
  • 暴飲暴食など節度のない食習慣
  • 栄養不足
  • 不規則な生活
  • ストレス
  • 運動不足
  • 激しい運動
  • 睡眠不足 など

また加齢に伴、免疫細胞の機能が低下し、免疫力が落ちてしまうことも。

年齢を重ねると風邪をひきやすくなるのも、加齢による免疫機能の低下が原因のひとつなのです。

漢方で考える「免疫」

漢方で考える免疫漢方は、西洋医学とはまた違った独自のアプローチの理論体系をもっています。

西洋医学と漢方、それぞれ免疫と病気の関係をどのように捉えてい流のでしょうか。

西洋医学の免疫

西洋医学は免疫と病気の戦いの中で、病気の原因の排除や、症状の緩和などを重視します。

症状が緩和されると楽になり、QOLを高めることが可能。

しかし人体が自ら免疫を高めるためにおこなう発熱(体温上昇)や、異物を排除するための咳などを抑え込んでしまいます。

免疫を高めるために出てしまう症状を抑えることで、かえって病原体が長く体内に居座り続けることになり、病気が長引くケースもあるので注意が必要です。

漢方医学の免疫

漢方医学では免疫機能を高めることを重視。

「正気(せいき)」のバランスと整えることを考えます。
「正気」とは人体が持つ生命力や抵抗力のこと。

漢方医学では、「正気」を漢方薬などを用いてバランスを整え免疫機能を高ます。

漢方医学に関しての詳しい内容は以下の記事を参照してください。

【漢方医学】心と身体を漢方で整える

補益剤で免疫力をアップ

漢方薬には「補益剤」という分類があります。

西洋薬では補益剤と同じアプローチのものを探すのは難しく、漢方独自の概念のものと言えるでしょう。

補益剤は、以下の症状を示す「免疫機能の低下」が疑われる場合に有効です。

  • 風邪をひきやすい
  • 貧血
  • 食欲不振
  • 疲労倦怠
  • 体力低下 など

補益剤は低下した消化吸収の機能や免疫機能に活力を与え、生体の防御機能を回復します。
また免疫薬理作用もあると言われています。

補益剤といえば補中益気湯

補中益気湯この補益剤の代表と呼ばれる漢方処方が補中益気湯です。
この章では、以下の内容に関して解説します。

  • 補中益気湯の免疫調整作用
  • 補中益気湯のインフルエンザに対する効果

Th1とTh2細胞のバランス調整

補中益気湯はTh1とTh2 のバランスを調節する作用があります。[1]

Th1とTh2は免疫の機能をつかさどるヘルパーT細胞が分化した細胞です。

ヘルパーT細胞は、ウイルスや細菌などの抗原の種類によって、Th1細胞になったり、Th2細胞になったりします。

私たちの身体の免疫機能はTh1とTh2のバランスにより維持されるのです。

Th1/Th2のバランスが崩れ、Th1が低下するとウイルスや細菌に感染しやすい状態となり、同時にTh2が増えすぎることでアレルギー疾患が増悪すると考えられています。

インフルエンザに対する効果

補中益気湯のインフルエンザに対する効果を調べた実験があります。

この実験はBritish Medical Journalで論文掲載されています。[2]

ある病院にて2009年9月から行なった実験です。

358人を179人ずつ2つのグループに分けました。
最初のグループの179人には補中益気湯を継続的に飲んでもらい、別のグループ179人には飲ませませんでした。

結果、このシーズンのインフルエンザ感染者は補中益気湯を飲んだグループで1名のみ。
補中益気湯を飲まなかったグループでは7名のインフルエンザ患者が出ました。

免疫と生活習慣

漢方医学では、健やかな健康を保つため生活習慣も大切だと考えられています。
免疫を上げる日常生活とは、どのようなものでしょうか?

腸内環境を整える

人の体の中で、免疫細胞が多く存在するのは小腸です。
小腸と大腸を合わせると、体内の約50%の免疫細胞が存在しているとも言われています。

腸内環境を整えることが、免疫力を高めることにも繋がるのです。

腸内環境を整え、免疫力を上げる食品として乳酸菌が注目されています。

食物繊維を多く含む食材を摂り、腸内環境を正常化させることで、免疫力を高めることが可能です。

適度な運動習慣

汗を軽くかく程度の適度な運動は、運動する日数が多いほど、風邪をひく日数も少なく、風邪をひいても重症度が低いという研究結果が出ています。[3]

ただし、運動強度の強いハードな運動をし過ぎると、逆に免疫力が低下することもあります。

体を温めることで免疫力が高まるとも言われています。

無理のない範囲での運動を、日常生活の中に取り入れていきましょう。

kampoで漢方生活をはじめてみる

+kampo+kampoでは主に3つのサービスを提供。

  • 漢方薬の提供

味や漢方が身体に合うかどうかを確認するため、初回の購入は10日分を提供しています。
漢方薬は購入後のアンケートの入力確認後お送りします。希望の処方がある場合はその旨をお伝えください。

  • 服薬リマインド機能の提供でしっかり飲めるよう伴走サポート

ドラッグストアなどで購入をしても、しっかりと服用を続けられるかわからない、効果が出ているかよくわからないという場合が多いのも事実です。
当薬局では飲み忘れ防止の服薬リマインド機能の提供と、定期的な疲労度体調チェックで効果を定量化します。

  • 一人ひとりのお悩みや質問に薬剤師が個別対応

季節ごとの体調変化やお悩み、飲んでいるサプリメントや医薬品は人それぞれ。
一律にチャットbotで対応は出来ません。
しっかりと事前に入力してもらった情報に基づき個別に回答いたします。疲労回復以外のお悩みもサポートします。

QOL(生活の質)を上げ、健やかな生活を送るために漢方生活も試してみてはいかがでしょうか?

 

pluskampo

 

【参照】

[1]漢方薬の免疫薬理作用

[2]Liam J Donaldson et al, BMJ 2009; 339

[3]Br J Sports Med.;45,987-92,2011

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