芍薬甘草湯はつらい月経痛や痛いこむら返りに即効!

月経痛・こむら返りに 芍薬甘草湯 漢方(kampo)

監修

+kampo
薬剤師 笹森有起

編集

医療ライター
薬剤師 森本夏子

「毎月の生理痛がつらくて、仕事が手につかない」
「最近、こむら返りが急に起こるので困っている」

このような症状に悩んでいる方には芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)がおすすめです。

芍薬甘草湯は、昔から激しい痛みをやわらげる漢方として使われてきました。

また、漢方は効果が現れるまで時間がかかると思われがちですが、芍薬甘草湯は即効性がある漢方の代表です。
早い人だと10分ほどで痛みが落ち着くことも。

今回の記事では以下の内容について解説します。

  • 月経痛やこむら返りが起こる原因
  • 西洋薬での治療法
  • 芍薬甘草湯で月経痛やこむら返りをやわらげる方法

ポイントをおさえて、痛みに悩まされない軽やかな日々を過ごしましょう。

芍薬甘草湯は激しい痛みにおすすめの漢方

芍薬甘草湯が効果的な症状には、月経痛やこむら返りなどがあります。
まずは、月経痛やこむら返りがなぜ起こるのかを見てみましょう。

毎月の憂うつ、つらい月経痛

月経痛は生理痛とも呼ばれ、多くの女性が悩まされている症状です。
月経痛は月経困難症の症状のひとつで、症状が重い場合は産婦人科で治療対象となることもあります。

厚生労働省の調査によると、月経痛が「かなりひどい」「ひどい」と回答した人は全体の30%近くに上りました。[1]

月経痛の主な原因として、子宮頚管の細さや、痛み物質であるプロスタグランジンが過剰に作られすぎることがあげられます。
また、慢性的な疲れも月経痛を強める理由の1つです。

疲れを解消して月経痛をやわらげるセルフケアについてはこちらの記事でご紹介しています。
疲労ケアでつらい月経痛をやわらげよう

いきなり起きるこむら返り

こむら返りは「足のつり」とも言い、ふくらはぎの筋肉のけいれんです。
ふくらはぎの筋肉が異常に収縮することで感じる、強い痛みを伴います。

こむら返りの原因には次のものがあります。

  • ミネラルバランスの乱れ
  • 脱水
  • 血行不良
  • 加齢
  • 妊娠中 など

こむら返りは運動中のほかに、起床時にも起こりやすい症状。
眠っている間に汗をかき、知らず知らずのうちに体が脱水してしまうのが原因です。

また、筋肉はカリウムなどのミネラルによって、伸びたり縮んだりします。
ミネラルバランスの乱れることで筋肉のコントロールに影響を与えられ、こむら返りにが発症。

こむら返りの予防のため、普段から水分や栄養バランスの取れた食事を取ることも大切です。

西洋医学によるこむら返り・月経痛の治療法

西洋医学による治療法は、症状をピンポイントでおさえる対症療法です。
月経痛とこむら返り、それぞれの治療法について見ていきましょう。

月経痛に処方される痛み止めやけいれんを鎮める薬

月経痛をやわらげるために、産婦人科などで主に処方されるのは、痛み止めと子宮のけいれんを鎮める薬です。[2]

痛み止め(NSAIDs)
  • ロキソプロフェン
  • イブプロフェン
  • アスピリン
  • ジクロフェナクナトリウム など
けいれんを鎮める薬
  • ブチルスコポラミン など

痛み止めの中でもNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれるものは、プロスタグランジンが作られすぎるのを抑え、痛みが起きにくくします。

NSAIDsは一般に向けても市販されているので、薬局やドラッグストアでも入手できます。
多くの種類があるため、購入の場合は店舗の薬剤師へ相談しましょう。

NSAIDsで月経痛がなかなか落ち着かない場合には、内臓の筋肉のけいれんを鎮める薬が処方されることも。

月経の際には、経血を外に出すために子宮が収縮しますが、その際に子宮の筋肉が強く収縮しすぎるとが月経痛の原因です。
けいれんを鎮める薬は、子宮の筋肉の過剰な収縮をおさえて月経痛をやわらげます。

主な副作用としてあげられるのが、NSAIDsでは胃の痛み、けいれんを鎮める薬では便秘や口の渇きです。
どちらの薬も用法・用量を正しく守って使用するようにしましょう。

こむら返りには筋肉のこわばりをほぐす薬

こむら返りは一時的なものなので、通常は西洋薬による治療は行われません。

しかし、くり返すこむら返りには、筋肉のこわばりをほぐす薬が処方されることも。[3]
この薬は一般には市販されていないので、必ず医師の処方が必要です。

筋肉のこわばりをほぐす薬
  • チザニジン
  • エペリゾン
  • エチゾラム など

筋肉をほぐすことで、こむら返りの痛みを落ち着かせます。

主な副作用として眠気などがあるため、車の運転や危険な作業は行わないようにしましょう。

漢方の力でこむら返り・月経痛を改善

芍薬甘草湯は、『傷寒論(しょうかんろん)』という中国の古い医学書に載っている処方で、昔から即効性があることで知られています。

この章では、芍薬甘草湯の効能効果について詳しく解説します。

芍薬甘草湯は2つの生薬からできているシンプルな漢方

芍薬甘草湯は芍薬と甘草を1:1で組み合わせた、とてもシンプルな漢方です。
痛み止めのとんぷく薬として古くから使われてきました。

芍薬 血を補う・止痛・鎮痙・鎮静作用
甘草 滋陰・止痛・鎮痙作用

芍薬にはペオニフロリン、甘草にはグリチルリチンという有効成分を配合。
2種類の生薬の組み合わせで、筋肉のこわばりをほぐし、痛みや炎症を静める作用が期待できます。

また、甘草は字のとおりに甘みの強い生薬です。
甘草が多く含まれているため、漢方の味が苦手という方にも、芍薬甘草湯は比較的飲みやすい漢方です。

芍薬甘草湯はプロスタグンジンをおさえて痛みに効く

芍薬甘草湯の効能効果は次のとおりです。[4]

効能効果 急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉痛、関節痛、胃痛、腹痛

漢方は通常、症状だけではなく「証」という、人それぞれの体質に合わせて選ばれます。
「証」が合わない場合、漢方が効かないばかりか逆効果になることも。

しかし、芍薬甘草湯は激しい痛みが起こった人に、「証」を問わずに使うことができます。

芍薬甘草湯の痛みに対する効果と即効性はしっかりと認められてきたものです。
こむら返りによる突然の激しい痛みにも芍薬甘草湯はよく処方されています。

芍薬甘草湯以外の即効性のある漢方については、以下の記事をご参照ください。

芍薬甘草湯についての論文も多く発表されています。

月経痛の原因は過剰に作られすぎたプロスタグランジンですが、芍薬甘草湯はプロスタグランジンの産生をおさえる効果が見られました。[5]

実験結果のグラフを見ると、芍薬甘草湯の濃度が上がるにつれて、痛み物質・プロスタグランジン類の生成量が減っていくのが分かります。

引用:子宮筋Prostaglandin産生に及ぼす芍薬甘草湯の効果 より

また、婦人薬の代表ともいえる当帰芍薬散と芍薬甘草湯を組み合わせることで、月経痛の痛みをさらにやわらげたという報告も。[6]

産婦人科ガイドラインでは、ゆっくり効くタイプの当帰芍薬散と、痛みがあるときだけ使う芍薬甘草湯を使い分けて治療に用いるようにと推奨しています。

芍薬甘草湯は、妊婦のこむら返りの改善のために産婦人科でも処方される漢方です。
もしあなたが妊娠中ならば、市販薬の購入は控えて、必ず産婦人科医へ相談しましょう。

妊娠中における漢方の服用については、こちらの記事を参考にしてくださいね。
妊娠中に漢方は飲んでもいい?妊婦と薬の関係を解説

芍薬甘草湯で気をつけたい副作用

漢方は西洋薬に比べると副作用は少ないですが、まったくないわけではありません。
芍薬甘草湯で特に気をつけてほしい副作用は「偽アルドステロン症」です。

アルドステロンはもともと体内にあるホルモンで、血圧を上げるはたらきがあります。
甘草を摂取しすぎると、アルドステロンに似た作用が起こり、血圧が上がったり、むくみ、手足の脱力感が起こったりすることがあります。

副作用を予防するためにも、用法・用量を守り、長期間の服用は避けましょう。
また、甘草は多くの漢方に含まれているため、芍薬甘草湯以外の漢方を服用する場合は医師や薬剤師へ相談してください。

こむら返りや生理痛のつらい痛みには芍薬甘草湯がおすすめ!

今回の記事では、以下について解説しました。

  • 芍薬甘草湯は痛みをやわらげる即効性の漢方
  • すべての「証」に合った、使い勝手の良い漢方
  • こむら返りによる突然の痛みに病院でも多く処方されている
  • 痛いときに飲むだけで、激しい月経痛にも効果がある

こむら返りや月経痛など、つらい症状は少しでも早くやわらげたいですよね。
漢方はゆっくり効き始めるものと思われがちですが、芍薬甘草湯のように即効性の漢方もあります。
突然の激しい痛みでつらいときは漢方の痛み止め・芍薬甘草湯を試してください。

漢方の力をプラスして、イキイキとした毎日送りましょう。

 

 

【参照】

[1]厚生労働省 働く女性の健康に関する実態調査結果

[2]産婦人科診療ガイドライン ―婦人科外来編2017

[3] 福岡県薬剤師会 こむら返りの治療法は?

[4]ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒 添付文書

[5]子宮筋Prostaglandin産生に及ぼす芍薬甘草湯の効果:柴田哲生ら:日本産科婦人科学会雑誌 Vol.48、No.5 p.321-327

[6]月経困難症に対する漢方薬(当帰芍薬散+芍薬甘草湯の周期併用療法、桂枝茯苓丸)の使用経験について:山城貴恵ら:第58回日本産科婦人科学会学術講演会:Group183 思春期・更年期・老年期IX,P2−531

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