「冷えは万病のもと」
「冬場は手足が冷えてつらい」
冷え=体に悪いもの
というイメージがありますが、冷えは疲労の原因でもあることを知っていますか?
冷えをそのままにしておくと、疲労が溜まってしまいます。
万病のもと、疲労のもとの冷えは、しっかり改善することが重要!
この記事で、以下についてご紹介します。
- 冷えとはどんな状態か
- 疲労と冷えの関係
- 疲労回復と冷え解消の方法
冷えと疲労の両方でお困りの方は、ぜひ一緒に改善していきましょう。
冷えとは「血行が悪くなり冷たく感じる」こと
冷えとは、細い血管の血行が悪くなり、手足など体の表面の温度が下がって冷たく感じてしまうことです。
まず、冷えについて詳しく解説していきます。
冷えは低体温とは違う
冷えと似たような用語に、低体温があります。
低体温とは、体の内部の温度が35℃以下に低下した状態のことです。[1]
体が作る熱量よりも、体から奪われる熱量が多い場合に起こります。
- 筋肉の硬直
- 意識がなくなる
- 心臓の動きが悪くなる
上記の症状は、命にも関わることがあるのでとても危険です。
低体温は寒いところで長時間過ごすなど、環境的な要因で起こると言われています。
一方、本来であれば寒いと感じない温度で手足などが冷えていると感じる場合が「冷え」です。
違いをおさえておきましょう。
冷え性と冷え症
同じ「ひえしょう」と呼ばれる、「冷え性」と「冷え症」に違いはあるのでしょうか。[2]
冷え性 | 明らかな原因がない場合、体質として「冷え性」と呼ばれる |
冷え症 | 漢方では、冷えは重要な症状のひとつで 冷えによって困る症状があり、治療を必要とする状態として「冷え症」と呼ばれる |
「冷え性」と「冷え症」は体質か症状かによって、使い分けていることがわかります。
冷えで悩んでいる人は多くいる!
厚生労働省は1986年から3年に1度、「国民生活基礎調査」という大規模な調査を実施しています。
1998年から自覚症状として「手足が冷える」という項目が追加されました。
引用:花王ヘルスケアナビ
厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」(平成22年・25年・28年)より作図
調査結果により、以下のことがわかりました。
- 冷えを自覚しているのは、女性のほうが多い
- 性別問わず、加齢とともに冷えの自覚は増える
- 年代によっては「眠れない」「胃のもたれ・むねやけ」よりも多い[3]
冷えで困っている人がとても多いということですね。
疲労と冷えの深い関係
冷えがあるといろいろな症状を引き起こします。
疲労と冷えにはどんな関係があるのでしょうか。
- 冷えによる症状
- 冷えを引き起こす疾患
これらの観点から見ていきましょう。
冷えによる症状
冷えによって起こる不調として以下が挙げられます。
「冷えにともなって起こるおもな症状」
1 抜け毛・白髪・薄毛
2 くすみ・たるみ・のぼせ・むくみ・シワ・シミ・クマ
3 歯周病・歯肉の変色・歯肉の萎縮・歯肉の腫れ
4 イライラ・不眠・不安感
5 ドライアイ・老眼・近眼・疲れ目・かすみ
6 肩こり・腰痛・頭痛・だるさ・疲れ・関節痛めまい・耳鳴り・月経痛・月経不順・アレルギー・便秘・下痢・動悸・ほてり・むくみ・肥満
7 ニキビ・乾燥肌・かゆみ
冷え流と血液の流れが悪くなり、疲労物質が溜まりやすくなることからも、冷えが疲労の原因であることがわかります。
冷えることで、血行が悪くなると肩こりに繋がります。
疲労と肩こりの関係を詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
「疲労」と「肩こり」悪循環を断つ方法を解説
冷えを引き起こす疾患
冷えることによって引き起こされる疾患だけではありません。
冷え症状を引き起こす疾患があります。
- 貧血
- 低血圧
- 甲状腺機能低下症
- 膠原病 など
上記の疾患が原因である場合には、治療により冷えの症状が改善されます。
冷えが長く続くようであれば、専門医を受診しましょう。
実践で疲労から開放!4つの冷え対策を紹介
冷えを改善して疲労回復するには、どのような方法があるのでしょうか?
今回は4つの冷え対策を紹介します。
- 保温
- 食事
- 運動
- 医薬品・サプリメント
自分に合った冷え改善策を見つけてみましょう。
効率よく冷えを改善して疲労回復するには、1つだけでなく複数を組み合わせるのもおすすめですよ。
①保温
冷えは血行の悪化によって起こります。
体を冷やさないようにしたり、温めたりすることが重要な対策です。
温かく保つ服装
温かく保つ服装が大切ですが、何でも着込めばよいというわけではありません。
冷え対策の服装ポイント
- 下半身は温かさ重視
- 上半身は重ね着で、温度に合わせて着脱する
汗をかかないように、脱ぎ着することで調節できる服装を選ぶようにしましょう。
マフラーや手袋、耳当てなどの活用も大切です。
全身を温める入浴
入浴は、全身を温めることが出来る絶好の機会です。
冷え性対策の入浴ポイントを紹介。
- シャワーだけでなく、湯船につかる
- 38~40℃のぬるめのお湯に、15~20分つかる[4]
血行を改善するには、上記の時間が必要です。
割と長い時間ですので、時間をしっかり測りながら音楽を聴きリラックスしたバスタイムを過ごしましょう。
疲労回復と入浴について、詳しく解説している記事はこちらです。
今夜からはじめよう!疲労回復に効果的な3つの入浴方法のコツ
冷え対策の保温グッズ
最近ではいろいろな冷え対策グッズが人気です。
効果的な冷え対策グッズを取り入れてみましょう。
カイロ | 使い捨てタイプと充電タイプがある 40℃ほどの温度が持続 |
温熱用具 | 40℃前後が約6時間以上持続 医療機器に分類される |
温熱シート | 40℃前後の蒸気温熱が5~8時間持続 医療機器に分類される |
湯たんぽ | 昔ながらのお湯を入れるタイプとレンジで温めるタイプがある |
保温靴下 | 繊維加工で熱が逃げにくく、温かさが持続 |
ライフスタイルや習慣に合わせて使ってみることをおすすめします。
②食事
体を冷やす食材を避け、体を温める食材を取り入れるのがポイントです。
体を温める食材 ショウガ、山椒、ニンニク、ネギ、ニラ、シソ、カボチャ、ナツメ、アンズ、クルミ、シナモン、トウガラシなど 体を冷やす食材 レタス、トマト、セロリ、キョウリ、セリ、ナス、バナナ、パパイア、マンゴー、スイカ、メロンなど
食材だけでなく、規則的に1日3食バランスよく食べることも意識しましょう。
また、熱を作り出す筋肉を維持するため、タンパク質を補給することも大切です。
③運動
筋肉は、運動により熱を作り出します。
筋肉が少なかったり、運動不足だったりすると熱が作れずに冷えの原因になってしまうのです。
対策として、筋肉を増やし基礎代謝を挙げることが必要になります。
基礎代謝を上げるために、下記の体幹トレーニングが効果的です。[5]
- スクワット
- ダンベル運動
- ウォーキング
- ピラティス など
どんなに良い運動でも、毎日継続できなければ意味がありません。
無理なく続けられる運動を、日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
④医薬品・サプリメント
最後に、医薬品やサプリメントの活用を紹介します。
- ビタミンE
- 漢方薬
冷えに効果的ですよ。
順に解説します。
血行を改善するビタミンE
ビタミンの中でもビタミンEが血行を改善する効能・効果があります。
ビタミンEは処方薬はもちろん、市販薬やサプリメントでも摂取することが可能です。
効能・効果
末梢血行障害による次の諸症状の緩和
肩・首すじのこり、手足のしびれ・冷え、しもやけ更年期における次の諸症状の緩和
肩・首すじのこり、冷え、手足のしびれ、のぼせ月経不順
ただし、これらの症状について、1ヵ月ほど使用しても改善がみられない場合は、医師又は薬剤師に相談すること。次の場合のビタミンEの補給:老年期
引用:ユベラックス® 添付文書
上記のように、市販のユベラックス添付文書に「冷え」の効能・効果が記載されていますよね。
用法・用量
次の量を食後に水またはお湯で服用してください。
年齢 1回量 服用回数 成人(15歳以上) 1カプセル 1日3回 小児(15歳未満) 服用しないこと 引用:ユベラックス® 添付文書
ビタミンEは脂に溶けるビタミンなので、食後に服用すると、吸収が良くなり効果的です。
自然由来の漢方薬
冷えの治療は、自然由来の生薬を使用した漢方薬が得意とするところです。
西洋医学では病気ととらえにくい冷えも、漢方では治療の対象になります。
冷えにはいろいろなタイプがあり、体質によって使う漢方薬が違います。[6]
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
上記は、冷えで処方される代表的な漢方薬です。
自分に合った漢方薬はどれなのか、薬剤師に相談してみましょう。
冷えを改善して、疲労もすっきり解消しましょう!
今回の記事では、以下のことを中心に解説しました。
- 冷えは血行が悪くなり冷たく感じること
- 冷えは血行が悪くなるので、疲労物質が溜まり疲労の原因となる。
- 冷えを改善する方法は保温、食事、運動、医薬品・サプリメントなどがある
「冷えは万病のもと」でもあり「疲労のもと」でもあります。
その疲労の原因が冷えであれば、冷えを改善することが疲労回復につながりますね。
冷えは、冬場だけではありません。
早めに対策して、冷えも疲労も改善させましょう!
【参考】
[3]厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」(平成28年)統計表,P41
[4]バスクリン > はぴばす 入浴と健康の情報ページ > 冷えを解消する入浴法