歯医者や美容院が不安・・・そんな方におすすめの漢方薬

パニック障害で不安その他のお悩み

記事監修医師

新見正則先生
新見正則医院院長

 

記事監修薬剤師

+kampo(プラス漢方)笹森有起
オフィス薬局
管理薬剤師

歯医者や美容院に行くのが不安で苦手…
そんな方が意外とたくさんいらっしゃいます。

今日はそんな方におすすめの漢方薬を紹介したいと思います。

歯医者や美容院が苦手なのは”生体防御反応”

歯医者はもちろん「痛い」という理由で好きな人は少ないと思いますし、美容院は何を話したらいいか分からないとか話しかけられるのが苦手、という方もいらっしゃいます。

でも、身動きが取れなくなるのが怖い、という不安を感じている方も多いです。

この不安は、実は、生体防御反応が高い人がなりやすい感覚と言われています。
また、ちょっとした細かいことが気になったり、ネガティブなことを想像しやすいという方も不安になりやすいです。
気になってしまうのも、思いついてしまうのも、自然になってしまうものなので、自分ではコントロールしにくから仕方ない時もあります。

反応がひどくなると「パニック障害」「不安障害」に

パニック障害の主な症状

この不安を感じる反応がひどくなってくると、「パニック症」「パニック障害」「不安障害」といった症状名が付きます。

具体的には以下のような症状が出ます。

  • 突然胸がドキドキする
  • 急に汗がどっと出る
  • 息が苦しくなる
  • めまいや吐き気に襲われる
  • 喉が詰まった感じがする

パニック障害は精神的な病気?

パニック障害は、ある日突然症状があらわれます。精神的な病気と思われることがよくあるのですが、そうではありません。これは、実は脳内ホルモンの影響で起こるものと考えられています。

パニック障害は、ストレス性の不安症や神経症、あるいは心の病気とも違います。最近の研究などから、パニック障害の原因は、脳内神経伝達物質(脳内ホルモン)のバランスの乱れであることがわかってきています。
とくにセロトニンとノルアドレナリンが関係していると考えられています。セロトニンは、ほかの脳内神経伝達物質の情報をコントロールし、精神状態を安定させる働きがあります。またノルアドレナリンは、不安や恐怖感を引き起こし、血圧や心拍数を上げる働きをします。

引用:パニック障害って、どんな病気?(オムロン)

上記のオムロンのサイトにはこのようにも書かれています。

かつては心臓神経症や不安神経症のひとつとされていましたが、違う病気であることが判明し、日本でも病名が知られるようになったのは10年ほど前からです。

パニック障害という病名は、1980年にアメリカ精神医学会で初めて発表されました。1990年代にWHO(世界保健機関)に登録され、ようやく一般にも知られるようになりました。

パニック障害はまだ歴史の浅い症状と言えます。正しく対処することで和らげることができるので、怖がらずに治療して緩和を目指しましょう。

パニック障害の治療に役立つ漢方薬

パニック障害に効く漢方薬

パニック障害の治療には、漢方薬も役立つものがいくつかあります。

大きく分けて、症状が起きたときに飲む頓服(とんぷく)タイプと、症状が起きにくい体づくり、体質改善をしていくタイプがあります。

症状が起きたときに飲む頓服(とんぷく)タイプの漢方薬

頓服薬としておすすめなのが、甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)です。

甘麦大棗湯には心身の興奮状態をしずめる働きがあり、緊張や不安、イライラ、のぼせ、神経症や不眠症に効果があると言われています。

配合生薬は

  • 小麦(ショウバク)
  • 大棗(タイソウ)
  • 甘草(カンゾウ)

の3種類と、とてもシンプルな成分の組み合わせです。

日常的に飲んで症状が起こりにくい体質を目指す漢方薬

漢方薬が得意とする体質改善は、パニック障害の治療にも効果があります。

漢方薬は自分の体質に合うものを選ぶことが重要なのですが、まずはこの代表的な4つから自分に合うものを探してみるのがおすすめです。

・加味逍遙散(かみしょうようさん)
・桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
・加味帰脾湯(かみきひとう)

ひとつずつ説明していきますね。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

血の巡りを良くし、ホルモンバランスを整えます。

イライラや不安感のある方、疲れやすい方、冷えが気になる方、肩こりやめまいを感じる方、不眠傾向やのぼせの症状のある方におすすめの漢方薬です。

配合生薬はこちらです。

  • 柴胡(サイコ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 当帰(トウキ)
  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 蒼朮(ソウジュツ)
  • 山梔子(サンシシ)
  • 牡丹皮(ボタンピ)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 生姜(ショウキョウ)
  • 薄荷(ハッカ)

桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

神経の高ぶりをしずめ、また、気力をつけることで心の状態をよくします。

神経症や不眠、夜尿症、また、精神面がかかわる動悸や性的機能の低下などにも用います。やせて顔色が悪く、心身の繊細な人に向くと言われる漢方薬です。

配合生薬はこちらです。

  • 桂皮(ケイヒ)
  • 竜骨( リュウコツ)
  • 牡蛎(ボレイ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 生姜(ショウキョウ)
  • 大棗(タイソウ)
  • 甘草(カンゾウ)

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

喉のつかえ感や気持ちの高ぶりや不安を鎮めたり、咳や吐き気を抑えます。

強い不安や緊張、イライラ、抑うつ、不眠、神経性の胃炎や激しい動悸、めまいなどに使われる漢方薬です。

配合生薬はこちらです。

  • 半夏(ハンゲ)
  • 厚朴(コウボク)
  • 茯苓(ブクリョウ)
  • 蘇葉(ソヨウ)
  • 生姜(ショウキョウ)

 

漢方薬は自分に合うものを服用するのがとても大切

漢方薬は体質や病歴などを考慮しながらまず選んだものを飲んでみて、体の反応を見ながら自分に最適なものを探すことで、最も効果のあるものを見つけることができます。

漢方薬を飲むことで起きる変化はさまざま

一度処方されたものをずっと飲んでも効果を感じられない場合は、その漢方薬が自分に合っていない可能性が高いです。

ここでいう「効果」というのは、症状が緩和されるということだけでなく、体に起きるちょっとした反応も含みます。

例えは、漢方薬が”効果を発揮しているしるし”としてよくあるのは、

  • トイレの回数が近くなった
  • 寝汗をかくようになった
  • 朝すっきり起きられるようになった
  • 風邪をひきにくくなった

などです。

逆に、漢方薬を飲み始めたタイミングで起きる、表面上ネガティブに感じる変化もあります。例えば

  • おなかの状態が変わった(便秘・下痢)
  • 胃もたれを感じる
  • 眠くなる

といったことです。

これはどれも、漢方薬が体に作用しているしるしなので、特にネガティブに感じることについては時間とともに感じなくなります

ただ、副作用である場合もあるので自己判断せず、気になる症状があったら必ず購入した場所や処方してもらった場所で相談するようにしてください。

ネガティブな反応が起きると不安になりますが、それで服用をやめてしまうと残念です。そういった不安は、些細な変化でも専門家に相談しながら、最適な漢方薬をみつけて体質改善を行うのがとても重要です。

体質改善を目指すなら、長期的な漢方薬の服用を

漢方薬でパニック障害を緩和

また、体質改善は長期の取り組みなので、せめて半年は飲んでみてください

たとえばダイエットを例に挙げると、食事制限で短期的に痩せてもすぐリバウンドしてしまいますよね。

でも、時間をかけて食生活や体づくりをすることによって体質改善をすると、痩せてから太りにくくなります。

漢方薬での体質改善も同様です。症状が起きにくい体に変えていくために、じっくり取り組んでみましょう

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