記事監修
+kampo(プラス漢方) 笹森有起
オフィス薬局 管理薬剤師
「布団に入っても手足が冷えて眠れない」「冷えが原因でだるい」「身体が温まりにくい」といった症状に当てはまる方は多いのではないでしょうか。
特に女性は、男性より筋肉量が少なく、体内で熱をつくりにくい傾向にあります。熱をつくるのが得意でない構造であるがゆえ、冷えに悩む人も多いのです。
近づく寒い季節に備え、身体を温めて冷え症を改善する方法をご紹介します。
なぜ冷える?冷え性の原因
身体に冷えを感じ、辛いと感じる症状が「冷え性」です。ただ、西洋医学では「病気」というより、体質の一種とされています。
一方東洋医学では治療の必要がある「症状」とされ、「冷え症」と記す場合もあります。
冷えが起こるのは大まかに次の要因からです。どれか1つではなく、複数の理由が「冷え」の状態につながっていることもあります。
- 筋肉が少なく、熱がつくられにくい
- 血流が滞っているため、熱が身体のすみずみまで上手く運ばれない血行不良の状態
- 寒暖差などで自律神経の乱れ、体温調節の機能は働いていない
冷えを放っておくとどうなる?
冷えをそのままにしておくと、月経痛や月経不順、頭痛などの不調の原因になるとされています。またむくみや肩こり、不眠などのトラブルにも冷えが関係していると考えられています。
そのままにしておくのは「万病のもと」だと言われるのも東洋医学における考え方なのですね。
飲み物、服装から漢方まで!効果が期待できる冷え対策
冷えを解消するためには「熱」をつくり、身体の末端にまで運ぶ必要があります。身体の内側と外側から、それぞれ冷え症の改善策を試みましょう。
身体を温める食事や飲み物
身体を温める効果の高い食べ物、飲み物を積極的に取りましょう。身体を冷やしにくい代表的な食べ物といえばショウガやにんにく、ねぎ、ごぼうなどです。
チョコレートやココアに含まれるカカオポリフェノールには、血流を促進する働きがあります。
またきゅうり、トマト、なす、大根など身体を冷やすやすい野菜は、温かい調理方法で食べましょう。1日3食規則正しく食べ、定期的に「熱」をつくることも大切です。
末端の冷えケアに向いている漢方
「冷え」の解消が身体の他の不調を改善するという考えに重きをおくのが漢方です。「冷え」改善においても、体質や症状よって力を発揮する漢方はさまざま。
中でも、末端、手足の先が冷える方におすすめなのが当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)です。
冷え症の改善、手足の冷えにともなって悪化するような下腹部痛、腰痛、頭痛などにも効果があります。また、冷え症の女性の月経痛の改善にもつなげてくれます。
血行をよくして、身体をあたためる作用を持つ当帰(トウキ)や、温めて痛みをやわらげる呉茱萸(ゴシュユ)、生姜(ショウキョウ)、細辛(サイシン)が配合されているのが特徴です。
外側から冷えを緩和する靴下などもポイント
冷え対策には、3つの首である首・手首・足首を温めるのが効果的です。皮膚が薄く冷えやすい場所であり、血管も集まっています。血流をよくするアイテムとして保温性のある靴下を身につけるとポカポカ感じられます。
とはいえ、身体を締め付けるタイプの靴下は避けるよう心がけてください。締め付ける服装は血流を停滞させます。
さらに気温の高い夏でも、冷えやすい服装はNGです。体温調整のしやすいカーディガンやストールなどを常備しておくといいですね。
できれば湯船につかって入浴を
忙しいため、ついついシャワーで済ませていませんか?シャワーはすっきりするものの、身体を芯から温めるのには不向きです。
ただ、むやみに熱い湯温では、体温を一時的に上げるだけで、温かさは持続しません。40度くらいの適温で、20~30分じっくり身体を温めるといいでしょう。
湯船につかる時間がないときは、足浴や手浴だけでもOKです。末端の血行が促進され、冷え改善効果が期待できます。
身体を動かして筋肉量を増やそう
筋肉量を増やし、つくられる熱の量をアップするのも重要です。激しい運動でなくてもOKです。スクワットやウォーキング、ストレッチなどを生活に取り入れてみましょう。
通勤時にひと駅歩く、エスカレーターやエレベーターではなく階段を使うだけでも体内の血行が促進されるのでおすすめです。
身体を温めて冷え性からくる不調を改善しよう
冷え対策の基本は身体を温めることです。
身体を温める熱を増やすための運動から血行をよくする食べ物、服装まで身体を温める方法は多岐にわたります。
末端冷えなど、症状に合わせて選べる漢方もその1つです。
「冷え」にお悩みの方はぜひ参考にしてみてくださいね。